研究概要 |
Cat-CVD(あるいはHot-Wire CVD)法では、原料ガスを高温の金属フィラメント表面で触媒分解してラジカルを発生させる。この方法においてはラジカルを"熱的"に生成するので、イオンや電子励起種などは生成しない。生成した中性ラジカルは、基板に到達するまでに気相中の他の分子と反応して成膜の前駆体分子が形成される。この前駆体分子の性質により膜質は大きく影響を受けると考えられる膜質をコントロールするためには気相に存在する化学種を同定し、その反応素過程を理解する必要がある。 レーザイオン化飛行時間型質量分析計を用いて、金属表面におけるシランの分解過程を、気相での化学反応が無視できる無衝突条件下で観測した。昨年度までは、水素原子を2光子共鳴3光子イオン化法により検出し、生成量の温度依存輔区とる線幅からの水素原子の併進温度分布を明らかにしたが本年度は新たに、ケイ素原子、ケイ素含有ラジカルの検出を行った。ケイ素原子は、250nmのレーザ光による1光子共鳴2光子イオン化法により検出した。また、真空紫外レーザイオン化法(118nm)によりケイ素含有ラジカルとしてシリルラジカルが検出された。これらのフィラメント温度に対する生成量を測定した。15個の素反応からなる反応モデルを構築し、フィラメント温度の結果を用い膜質の決定に関与する化学種についての考察を行った。その結果SiH_3,Si_2,Si_2H_4が成膜に大きく関与していることが明らかになった。
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