研究課題/領域番号 |
11450301
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
長浜 邦雄 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80087311)
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研究分担者 |
乗富 秀富 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20237895)
加藤 覚 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70126316)
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キーワード | 超臨界流体 / 二酸化炭素 / 魚油 / ドコサヘキサエン酸 / エイコサペンタエン酸 / シクロデキストリン / 包接化物 / 耐酸化性 |
研究概要 |
マグロ魚油などに含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)は脳の働きを助けるなどの有用な生理活性を有する。しかし、DHAは高度不飽和脂肪酸であるため酸化されやすく、不安定である。本研究の目的は、原料魚油の超臨界CO2抽出によるDHAの精製および超臨界CO2中における耐酸化性附与のためのDHAとシクロデキストリン(CD)の包接反応について、実験的な検討を行うことである。今年度はとくに包接化について詳細な検討を行った。実験は、試料として、DHAおよび類似化合物であるエイコサペンタエン酸(EPA)を用いた。また、CDとしてはβ-CDと分岐β-CDを採用した。高圧実験装置は、CO2注入部、溶解セル、包接反応セルおよび圧力調節部からなる。実験は回分式と連続式で行った。回分式では脂肪酸とCDを一緒に反応セルに仕込み超臨界CO2をくわえて攪拌しながら一定時間反応させ、減圧して実験を終了する。連続式では、溶解セルと反応セルを直接つなぎ、そこに連続的にCO2を流し、溶解・包接化を行わせた。なお、温度は40℃、圧力は100barから200barまで、CDに加えた水分量を変化させて、EPAおよびDHAについて実験した。反応物は、凍結乾燥、洗浄、減圧乾燥を経て、白色粉末の包接物として得られた。それを水とクロロホルム2液相に溶解・分配させ、クロロホルム相を分析して包接物中の脂肪酸量を求めた。包接物は熱(TG)分析および耐酸化性試験を行った。分岐CDによる実験結果を総合すると、EPAの最大包接量は対CDモル比で0.6、DHAでは0.2に達し、また、熱分析や耐酸化性のデータからも包接物が得られていることが分かった。また、水分量が多いほど包接量も多くなることも判明した。なお、β-CDを用いた場合は、分岐CDに比べ包接量がかなり小さくなった。
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