1.過酸化水素を酸化剤としたメタンの液相一段選択酸化反応の開発 ポリオキソメタレートの酸型を用いて、過酸化水素を酸化剤としたメタンの液相一段選択酸化反応を検討し、高活性な触媒の探索、反応条件の最適化を行った。種々のポリ酸を触媒に用い酸化反応活性を比較したところ、バナジウムを置換したH_4PV_1Mo_<11>O_<40>が最も高活性を示した。主な生成物はギ酸、ギ酸メチル、トリフルオロ酢酸メチル、メタノール、エタン、二酸化炭素であった。また、最適反応条件を探索し、最適条件は、反応温度:80℃、反応時間:24時間、メタン分圧:50atm、溶媒:TFAA1.8mL、触媒濃度:2.5mM、酸化剤:H_2O_2(35.5%水溶液)、酸化剤濃度:1.2mMであった。 2.メタン酸化反応機構解明 反応の活性種の解明について反応中のUVスペクトルおよびIRスペクトルの検討により、H_4PV_1Mo_<11>O_<40>は過酸化水素と速やかに反応して447nmにUVスペクトルの吸収帯をもつモノペルオキソバナジウムイオン(VO(O_2)^+)と欠損型の11-モリブドリン酸(PMo_<11>O_<39>^<7->)が生成することが明らかになった。生成したモノペルオキソバナジウムイオン(VO(O_2)^+)が活性種であることが明らかとなり、さらにモノペルオキソバナジウムイオンはカチオンラジカルへと変化し、メタンから水素を引き抜いて反応が進行すると推定した。また、ヘテロポリアニオンが共存するとモノペルオキソバナジウムイオンの生成量が増加し、その活性が高いことが明らかとなった。
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