研究概要 |
塩化銅(I)を触媒に用いる金属ケイ素とメタノールからのトリメトキシシランの直接合成について研究代表者らが従来提案してきた反応機構に関する知見をもとに,金属ケイ素と塩化水素との反応を行うとともに,プロピレンの存在下で反応を行うと有機ケイ素化合物が直接合成できることを見出した.触媒量,反応温度,塩化水素とプロピレンのモル比などの反応因子の検討を行い,有機ケイ素化合物の直接合成の効果的手法を確立した. 例えば,金属ケイ素と塩化銅(I)の粉末混合物(Cu=5wt.%)を常圧流通系反応装置に仕込み,ヘリウムの気流下723Kで10分間加熱処理した後に,反応温度553Kで塩化水素10mmolh^<-1>とプロピレン5mmolh^<-1>を流通すると,反応時間5時間で金属ケイ素の87%が反応してイソプロピルジクロロシランが選択率13%,プロピルジクロロシランが選択率3%で生成した.この他に,トリクロロシラン,ジクロロシランと微量の四塩化ケイ素が副生した. 金属ケイ素とメタノールからのトリメトキシシラン直接合成の場合と同じように,この反応においても,反応中の金属ケイ素の表面にはシリレン種が生成し,これがプロピレンと反応することによって,以上のように有機ケイ素化合物が生成するものと結論した.
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