研究分担者 |
稲津 晃司 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (70272698)
泉 康雄 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (50251666)
中野 義夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30092563)
大山 聖一 (財)・電力中央研究所, 狛江研究所, 主査研究員
宮崎 あかね 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (80293067)
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研究概要 |
低温液相メタノール合成において,ラネーニッケル-メトキシド複合触媒は転化率および選択率が90%以上と優れた触媒特性を示す.低温液相メタノール合成は以下に示す二つの反応より構成される. CH3OH+CO→HCOOCH3(1) HCOOCH3+2H2→2CH3OH(2) (1)式は,液相(メタノール)中のNaOCH3を触媒として反応が進行することが良く知られており,(2)式についてはラネーニッケルおよびNaOCH3が反応に関与していると考えられるが(NaOCH3が液相中で有効か表面上で有効かなど)詳細については明らかではない.本年度は,ラネーニッケル上でのギ酸メチル水素化分解反応を行い,NaOCH3の添加効果について特に検討した. ラネーニッケルおよびNaOCH3(41mmol)を液相(メタノール)中に加え423K,反応圧力50MPaにおけるギ酸メチル水素化分解の圧力,温度の経時変化を測定した.NaOCH3が液相中にあることにより転化率71.8%,選択率100%と高い活性を示した.次にNaOCH3を液相中に加えず,ラネーニッケル上に含浸した後液相中に導入し,その導入量を変化させた時のギ酸メチル水素化分解反応の結果を測定した.選択率はNaOCH3の導入量と共に増加するが,転化率は1-6%程度とNaOCH3を液相中に加えた時と大きく異なる結果となった.よって,低温液相メタノール合成において,NaOCH3はメタノールをカルボニル化するだけでなくギ酸メチルの水素化分解においても(表面,液相の相方で)重要な役割を担っていると考察した.
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