研究概要 |
本研究では,異なる結晶形態をもつMFIゼオライトに関して,結晶化のメカニズム,特に結晶形態発現機構と触媒活性発現の関連づけを行うことを大目標としている。 ゼオライトの結晶化機構の解明および生産性の向上を目指し,完全混合型の流通式水熱合成装置を用いたゼオライトの新規合成法を確立することを目的とした。本法においては,反応器の流出口からサンプル溶液を連続的に回収することで,結晶化過程の観察が可能となる。本年度は,合成ゼオライト種としてアルミニウムフリーのMFI型ゼオライトであるシリカライトに着目し,流通法を用いたゼオライト合成についての基礎的検討に重点をおいた。 回分法および流通法を用いたシリカライト合成を行い,各方法に得られた生成物の結晶化過程を比較することで流通法の特徴を検討した。回分法を用いて,シリカライト合成を行い,比色分析を用いてシリカ種の分布の経時変化を観察したところ,結晶相のシリカ量が結晶化4時間付近から除々に増加する様子が確認できた。一方,流通法を用いてシリカライトを合成を行い,比色分析を用いてシリカ種の分布の経時変化を観察したところ,結晶相のシリカ量は,結晶化温度に到達した結晶化0時間にはすでに全シリカ量の70%以上を占めることが確認できた。結晶化0時間に得られた生成物をTEMおよび電子線回折で観察したところ,数十nm大きさの結晶質粒子が生成していた。また,結晶化6時間付近以降で定常になることが確認できた。
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