研究概要 |
MCM-22は酸素10員環チャンネルと,酸素12員環で構成されるsupercageからなる構造が積層しているゼオライトである。このゼオライトは現在,クメンやエチルベンゼンの製造に固体酸触媒として用いられ,さまざまな触媒反応への応用に関する研究が行われている。いっぽう,Dry gel conversion(DGC)法は水熱法では得られないゼオライトを合成できる手法として注目されている。本研究では,DGC法によるMCM-22ゼオライトの結晶化条件の探索と粒径制御を行った。DGC法では,乾燥ゲルと水を反応容器内に接触しないように仕込み,水蒸気雰囲気下でゼオライトの結晶化を行うが,今回はこの添加する水の量と,水と同時に加える結晶化剤の量を変えて150℃で5日間,合成を行った。その結果,乾燥ゲル0.5gに対して水は2.0g,結晶化剤は1.5g加えたときにMCM-22の結晶相が単独で得られ,どちらかいっぽうでも少ない場合には,他のゼオライトとの混晶となるか,結晶相がまったく生成しなかった。DGC法によって最適な合成条件で得られたMCM-22は,水熱法で得られるMCM-22ゼオライトに比べてより大きな粒子径をもっていた。これは核発生が起こりにくかったためと考え,結晶化剤を乾燥ゲルにも添加して結晶化を行った。この手法によって得られたMCM-22は水熱合成したものと同程度の粒子径であった。このようにしてDGC法でMCM-22ゼオライトが結晶化可能であること,また,簡易な操作によって結晶の大きさを制御できることを明らかにした。
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