(1)本枯草菌が生産する各物質をコードする遺伝子のクローニング 抗菌物質プリパスタチンをコードする遺伝子をクローニングすることに成功した。 従来からフェンギシンを呼ばれていた遺伝子はPli遺伝子として命名し直した。 iturinAをコードする遺伝子のクローニングにも成功し、塩基配列を解読中である。 (2)抗菌物質の生産性の向上に貢献する遺伝子の決定 今まで、酵素などの生産性に関与する遺伝子としてdegQ遺伝子が知られていたが、この遺伝子が枯草菌において正常に作用しない場合があることを見いだした。そこでdegQ(H)遺伝子を枯草菌に導入したところ、プリパスタチンの生産性が数倍向上した。degQ(H)が抗菌物質の生産性にも関与することを初めて明らかにした。 (3)化学農薬耐性菌の創製 枯草菌を化学農薬と併用して使用する場合、化学農薬に耐性を示す必要がある。 その為に、2種類の化学農薬耐性菌を突然変異により創製した。野菜の根こぶ病に有効なネビジン0.01%に耐性な菌を獲得し、大量培養して、次年度以降の実験資材を得た。苗立ち枯病に有効なフルトラニル100ppmに耐性な菌を得た。 (4)培養の最適化 枯草菌のプロモータを改変した遺伝子組換え体を、用いイチュリンとサーファクチンの生産性を検討した結果、イチュリンの生産性は1.5倍向上したが、サーファクチンは80%に減少した。 (5)植物試験 上記で得られた各種の枯草菌を実験室において、トマトの苗立枯れ病(病原菌は糸状菌、Rhizoctonia solani)を用い、植物病の抑制試験を実施した。
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