研究概要 |
本年度はウイルスベクターを用いて鳥類胚細胞染色体に安定に遺伝子を組込むことを試みた。レトロウイルスを用いてウズラに遺伝子導入することを試みた。このため、宿主域が広く、濃縮が可能なVSVの外皮タンパクを持つモロニー白血病ウイルスを用いた。まずこのウイルスDNAにウイルスLTRからパントロピックな発現するよう緑色蛍光を発するGFP遺伝子を挿入し、つづいてウイルス内部領域にラウス肉腫ウイルスLTRプロモーターの制御下にネオマイシン遺伝子が発現するようこれらの遺伝子を連結した。この導入DNAをモロニー白血病ウイルスのgag及びpol遺伝子を発現するヘルパーセルラインに導入して安定形質転換株を得た。この株にVSVのGタンパクをコードする遺伝子DNAを一過性発現法にて導入し、感染性であるが複製能のないウイルス粒子を得た後、この粒子を超遠心で50,000G,2時間濃縮し、10^9cfu/ml程度のウイルス液を得た。さらにこのウイルス溶液を放卵直後のウズラ桑実胚に感染させた後、ニワトリホスト卵殻で孵化させたところ、ほぼ100%の確立でモザイク状だがほぼ全身の細胞に遺伝子が導入されていた。
|