フォトリソグラフィー技術を利用して、25mm角、厚さ625μmのシリコン基板表面に、KOHエッチングにより3種類のチャンネルパターンを作成した。それぞれの反応チャンネルの幅は2mm(パターン1)、1mm(パターン2)および400μm(パターン3)とし、体積はすべて7.2μ1となるように設計した。また、2つの試料導入口と1つの排出口は、シリコン基板の裏面に貫通させた。シリコン基板表面にパイレックスガラスを陽極接合し、μ-FIA用のマイクロチップとした。CL検出系のモデル反応にはルシゲニン(Luc)-エピネフリン(EP)CL反応を利用した。CL検出器内に設置したマイクロチップの裏面から、微量送液ポンプを用いてLuc/EP混合溶液およびNaOH/NaIO_4混合溶液を導入し、チャンネル内で反応させた。生じたCLを光電子増倍管で検出した。 CL応答に及ぼすチャンネル幅の影響を検討した結果、いずれのパターンにおいても応答開始から数分で一定の発光強度となった。同じ流速で比較した場合、チャンネル幅が狭いほど、すなわちパターン3>2>1の順にCL強度は増大した。つぎに、パターン3におけるCL応答に及ぼす流速の影響を検討した。流速を20〜400μ1/minの範囲で変化させたところ、流速が速くなるにつれてCL強度は増大した。CCDカメラを用いてチャンネル内のCL反応の状態を観察したところ、チャンネル幅が狭いほど、あるいは流速が速いほど、CL反応試薬の混合が促進され、チャンネル内での発光領域が拡がっていることが確認された。また、CL応答に及ぼすEP濃度の影響を検討した。その結果、1×10^<-7>MまでEPを検出することができた。
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