固液界面吸着分子の超高速スペクロトスコピーと界面フェムトケミストリー

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11450322
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 原田 明 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (90222231)
• 研究分担者: 石岡 寿雄 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (60304838)
• キーワード: 電極界面 / フェムトケミストリー / 超高速分光 / 光熱変換現象 / 無輻射過程 / 金単結晶電極 / 電気化学 / ナノ空間エネルギー移動

研究概要

本研究では、"固液界面に吸着した分子の超高速化学(フェムトケミストー)"の開拓を指向して、新計測原理の創出にもとづく選択性向上と検出の高感度化というた分析化学的な観点からメスを入れる。特に、固液界面のフェムトケミストリーに支配的な要素を明らかにするために、固液界面吸着分子と固体との超高速相互作用を分光的に検討する。具体的には、単結晶金属表面上の良く規定された分子配列を電気化学的に制御しつつ、超高速光熱変換および界面光電子放出応答の高精度測定を行い解析する。初年度である本年度は、主に装置の開発と単一波長での実験による試料系および実験条件の設定を行った。具体的成果は以下の通り。
1.装置導入と調整:既存実験系に高調波発生器・ホトンカウンタを組み込み、広帯域化された光波長域に合わせての光学系を最適化を行った。
2.金単結晶(111)面/電解質系での定電位・超高速過渡反射率応答を測定し検討した。〜数100fsの超高速応答の電極電位依存の観測に成功した。電位依存はわずかではあるので、サイクリック電位走査測定を併用して確認を取る手法を開発した。電解質溶液中の支持塩の濃度や種類の違いが超高速応答の電位依存におよぼす影響を検討した。過塩素酸の0.1M溶液で電位依存が大きく高濃度ほど電位依存が少ないこと、硫酸溶液では電位依存が観られなくなることが分かった。これらから、表面に近接する水分子の振動が超高速緩和ダイナミクスに影響していると推論した。
3.単結晶金(111)面をアルカンチオールで修飾した系で同様に検討した。未修飾系より緩和が遅いことを見出した。また、この系にでも超高速応答が電位依存することを見出し、吸着分子の関与する超高速相互作用の存在が示された。この系は以降の検討に適切な物質系であると結論した。現在、波長を変えてスペクトル測定を行うべく準備中にある。

研究成果

• [文献書誌] Akira Harata,Qing Shen.Tsuguo Sawada: "Photothermal Application of Lasers:Study of Fast and Ultrafast Photothermal Phenomena at Metal-Kiquid Interfaces"Annual Rebiew of Physical Chemistry. 50. 193-219 (1999)
• [文献書誌] Akihide Hibara,Tomohiro Morishita,Isao Tsyumoto,Akira Hrata,Takehiko Kitamori,Tsuguo Sawada: "Direct Measurements of Femtosecond Energy Dissipation Processes of Hot Electrons in a Gold Film"Japanese Journal of Applied Physics. 38. 2983-2987 (1999)
• [文献書誌] Kenji Katayama,Tsuguo Sawada,Isao Tsuyumoto,Akira Harata: "Picosecond Energy Transfer at Gold/Electrolyte Interfaces Using Transient Reflecting Grating Method under Surface Plasmon Resonance Condition"Bulletin of Chemical Society of Japan. 72・11. 2383-2388 (1999)
• [文献書誌] S.Ikeda,K.Katayama,T.Sawada,I.Tsuyumoto,A.Harata: "Generation and Observation of GHz Ultrasonic Waves on Liquid Surfaces and a Liquid/Liquid Interface by Transient Reflectiong Grating Method"Jounal of Chemical Physics. 111・20. 9393-9397 (1999)
• [文献書誌] Gen Furui,Kazuki Ito,Isao Tsuyumoto,Akira Hrata,Tsuguo Sawada: "Mokeculer Dynamics of Auramine/O in Low/Viscosity Solutions as Investigated by an Ultrafast Lensing Effect"Jounal of Physics Chemical A. 103・38. 7575-7579 (1999)