研究概要 |
本年度は以下の結果を得た. (a) 電気化学顕微鏡を用いた細胞機能のイメージング: プローブであるマイクロ電極を,高精度XYZステージに取り付け,このステージ系と倒立顕微鏡,マルチポテンシオスタット,ステージ駆動制御系と組み合わせることにより,細胞を対象とした電気化学顕微鏡を作製した.また,システムを一元管理するためのソフトウエアを開発した. (b) プローブとして白金マイクロディスク電極を用いることにより,植物細胞(ハネモ)プロトプラスト近傍の酸素濃度を計測することに成功した.また,この酸素濃度を二次元マッピングすることにより細胞の光合成および呼吸活性をイメージングできることが明らかとなった. (c) 測定溶液に,細胞膜透過性の低いフェロシアンイオンを添加し,細胞近傍における酸化電流を計測することにより,細胞の形状をイメージングできることが明らかとなった. (d) 1個のハネモプロトプラスト中に光合成電子移動阻害剤であるDCMUを極少量注入し,その後の光合成活性変化を電気化学顕微鏡により追跡したところ,注入された細胞の活性が急激に低下することがイメージングで確認できた.また,近接する細胞の光合成活性の低下も観測された.DCMUは膜透過性が高いため,注入された細胞からDCMUが漏れだし,近接する細胞の活性低下を引き起こしたものと推定された. (e) 2つの白金ディスクが先端部に配置されたデュアルマイクロディスク電極をプローブとし,ハネモ単一プロトプラストのイメージングに成功した.この場合には,細胞の形状と光合成活性,あるいは形状と呼吸活性の同時イメージングが可能であった. (f) 上記のヂュアルマイクロディスク電極上で誘起される局所誘電泳動を利用することにより,クロレラを単一細胞レベルで捕捉することが可能であった.
|