有機無機層状結晶を配向分散したポリマー複合材料の光機能制御

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11450326
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 菊田 浩一 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (00214742)
• 研究分担者: 松山 一夫 日本油脂(株), 化成品研究所, 研究所長 ; 志知 哲也 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (90293654) ; 高木 克彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60023264)
• キーワード: 層状酸化物 / インターカレーション / フォトクロミズム

研究概要

緒言 昨年度まで利用していたニオブ酸カリウムは、固相反応で合成していたために非常に大きな粒子であり、形態もはっきりしないために配向制御にはあまり適したものではなかった。今回は水熱合成によって、形態及び粒径を制御した粒子の合成を検討し、また、無機ポリマー中への複合粒子の分散を行うために、光反応性の金属有機化合物からの無機マトリックスの光硬化についての検討を行った。
実験 粒子の合成には水熱反応装置を利用し、200℃の低温条件での合成を試みた。さらにこの手法で合成したニオブ酸カリウムに、側鎖の異なる光反応性分子をインターカレーションによって導入し、紫外線に対する変化を観察した。また、マトリックスとなる無機ポリマーについては、化学的安定性と光反応性について置換基の効果を観察した。
結果及び考察 水熱合成法においては他種金属を添加することによって、従来と比較してかなり低い温度においてもK_4Nb_6O_<17>への結晶化が確認でき、また得られた粒子は、数ミクロンの自形を有する板状粒子であった。透過電子顕微鏡での観察から、合成した粒子はc軸方向に成長していることが確認できた。この粒子へのビオロゲン有機分子の複合化も可能で、配向構造をとり易いこともわかる。マトリックスへの応用を考えたアルミニウム、ジルコニウムなどの有機金属化合物は、十分な光反応を持ち光照射によって不溶化することが確かめられた。さらに、広い波長領域で透明であり、複合粒子の分散性を向上させることでマトリックスとして応用が可能となると考えられる。

研究成果

• [文献書誌] R. Sasai, H. Itoh, I. Shindachi, T. Shichi, K. Gekko, K. Takagi: "Photochromism of Clay-Diarylrthene Hybrid Materials in Optically Transparent Gelatin Films"Chem. Materials. 13,No.6. 2012-2016 (2001)
• [文献書誌] M. Seki, S. Yamamoto, Y. Aoki, K. Takagi, K. Izumi, S. Nojima: "Small-angle X-ray Scattering Study of Thermoreversible Physical Gels from Ply(vinyl chloride)"J. Polym. Sci. Polym. Phys. Ed. 39. 2340 (2001)
• [文献書誌] O. Ohtani, H. Katoh, K. Takagi: "Reversible Morphological Changes Induced by the Photodimerization of Bis(4-Octadecyloxystilbazolium) Isophthalate Films"Chem. Lett.. (48-49). (2002)
• [文献書誌] O. Ohtani, R. Sasai, T. Adachi, I. Hatta, K. Takagi: "Self-Assembled Thin Solid Films of Dioctadecyldimethylammonium Cinnamate Lamella Units That Control the Photostationary State of E-Z Photoisomerizations"Langmuir. 18. 1165-1170 (2002)
• [文献書誌] K. Kikuta, K. Ohta, K. Takagi: "Synthesis of Transparent Magadiite-Silica Monolith"Chem. Materials. (to be published). (2002)