研究課題/領域番号 |
11450327
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 靖彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (20026066)
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研究分担者 |
野平 俊之 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (00303876)
後藤 琢也 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (60296754)
萩原 理加 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (30237911)
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キーワード | 溶融塩 / アンヒドラス / 材料合成プロセス / 電気化学 / 脱水精製 / 常温溶融塩 / 材料評価プロセス |
研究概要 |
溶融塩を用いた材料合成・評価に必要な、溶融塩の精製、生成物の分離・回収操作を含めプロセスを一貫したものとして発展させたアンヒドラス合成プロセスを確立することを目的としており、平成11年度は、従来の電解セルを1/2以下にスケールダウンすることにより、塩の使用量を約1/10に押さえながら、従来と同程度の材料形成が可能であることが分かった。平成12年度は、これらの結果を踏まえ、ガス精製装置付グローブボックス内に電解セルを組み、さらに精度の高い実験データを得ること、および実際に種々の材料の合成・評価を行うことを目的とした。まず、溶融LiCl-KCl系の実験に関して、ガス精製装置付グローブボックス内に新たに設置した特注電解セルを用い、塩の真空乾燥、真空加熱乾燥等の全ての操作をグローブボックス中で行うことで、従来よりはるかに低い水分量を再現性良く達成できることが明らかになった。ここで、浴中にLi_3Nを添加し、電極にFe、Fe-Sm、Crなどを用いることでFe-N、Fe-Sm-N、Cr-N等の機能性材料の形成が可能であることが分かった。さらに、ここで確立した手法を溶融LiBr-KBr-CsBr系に適用することで、溶融アルカリハライド中で最も低融点(約230℃)の新たな浴を見出すことができ、浴中へLiHを添加した際のH-イオンの電気化学挙動を精度良く明らかにすることができた。また、溶融LiCl-KCl-LiH系で、電気化学的手法によりTiの水素吸蔵・放出挙動に関して、平衡論的および速度論的データを簡便かつ精度良く求めることができた。さらに、同様の手法により、TiNの高温での水素遮断能をはじめて定量的に評価することが可能になった。また、共晶塩(LiCl-KCl)に対して溶解能力のある、有機イオンを含む常温溶融塩の探索および合成を行なった。その結果、EMIC系の塩が優れていることが分かった。この過程では、アンヒドラス合成プロセスへの適用が期待できる、全く新規な常温溶融塩であるEMIF・2.3HFを見出し、その基礎物性を明らかにすることができた。
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