研究課題/領域番号 |
11450335
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
足立 吟也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60029080)
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研究分担者 |
増井 敏行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00304006)
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キーワード | 希土類酸化物 / 自動車排ガス浄化触媒 / 酸素貯蔵能 / ジルコニア / 紫外線遮断剤 / 窒化ホウ素 / 表面被覆 / 化粧品 |
研究概要 |
本研究は、種々の微粒子合成法を複合化することで、様々な形態を有する希土類酸化物微粒子の作製条件、ならびに形態変化に伴う物性変化を明らかにすることを目的としている。平成11年度は、表面被覆による形態及び物性の変化を明らかにするため、新しい紫外線遮断剤として期待されている酸化セリウム微粒子を対象に研究を行った。 紫外線の皮膚に対する有害性が認識されるにつれ、化粧品紫外線遮断剤、とりわけ無機系の遮断剤の特性向上に関する要望が年々大きくなりつつある。現在使用されている微粒子酸化チタンは、効果は高いが化粧仕上がりが青白く不自然になりやすく、酸化亜鉛は効果が不十分であるという問題がある。酸化セリウムは良好な紫外線遮断効果を示すことが知られているが、高い触媒作用を有することや、分散性が悪く紫外線遮断効果が不十分であること、さらには淡黄色のため配合に制限が大きいといった問題から化粧品素材としてはほとんど利用されてこなかった。本研究では、酸化セリウム微粒子表面を、滑沢性に優れ化学的に非常に安定である窒素ホウ素で被覆することにより、触媒活性ならびに淡黄色の着色を抑制し、紫外線遮断効果が高く、安全性、透明性に優れた紫外線遮断剤の合成を目指した。 その成果として、本研究で得られた窒化ホウ素被覆酸化セリウム微粒子は、紫外光領域では優れた光遮断能を示し、また可視光領域領域においては最も高い透明性を示した。XRD、TEM、XPS測定の結果から、酸化セリウム表面を被覆しているのは乱層構造の窒化ホウ素であり、被覆率は約90%であった。さらに、被覆により粉末の淡黄色を低減させることに成功した。 また、ひまし油の熱分解反応を指標として触媒活性の評価を行ったところ、酸化セリウムのもつ高い酸化触媒活性が著しく抑制されることが明らかとなった。また、光触媒活性についても同様に評価したところ、本研究で得られた窒化ホウ素被覆酸化セリウム微粒子は光触媒活性を全く示さなかった。これらの結果から、酸化セリウム微粒子表面を窒化ホウ素で表面被覆することにより、色彩の制御、触媒活性の抑制、優れた紫外線遮断性、可視透明性を兼ねそろえた酸化物となることが明らかとなった。
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