研究課題/領域番号 |
11450338
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 武蔵工業大学 |
研究代表者 |
永井 正幸 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (80112481)
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研究分担者 |
朴 容一 武蔵工業大学, 工学部, 客員研究員
濱上 寿一 東京都立大学, 工学部, 助手 (30285100)
西野 忠 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (30061485)
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キーワード | プロトン伝導体 / 界面効果 / コンポジット / ゾル-ゲル法 / イオン伝導性 |
研究概要 |
近年、可動型電源や自動車用電源として使用可能であり、室温付近で動作する燃料電池に対する需要が高まってきている。このような要求に応える電解質としては、伝導度と加工性の面から固体高分子が一般的に用いられるが、セラミックスに高い伝導性と成膜性が付与できれば、室温付近で動作する燃料電池の代替材料として有望である。以上の観点から、私達は無機・有機コンポジットプロトン伝導体の合成と評価を行った。検討した系は、ケイリン酸塩ガラス-ナフィオン、非晶質リン酸塩-ナフィオン、非晶質リン酸塩-PTFE、リン酸ジルコニウム-PTFE、ケイリン酸塩ガラス-PMA(PWA)である。これらのコンポジットは、全てゾル-ゲル法を基本として作製した。 得られた試料は全て外見上は均一であったが、ケイリン酸塩ガラスを基本とした系は脆く取り扱いに注意を要した。赤外吸収測定の結果より、どのコンポジットも室温付近では、水を多く含み強い水素結合が存在することが分かった。ケイリン酸塩ガラス-ナフィオン系では、作製直後で10^<-6>S/cm程度の低い伝導度であった。一方、130℃程度の加熱により水が脱離し、伝導度が大幅に減少することが分かった。このことは、ガラスとポリマーがマクロなレベルでは混合しているが、分子レベルでは疎な部分が多く水が弱く束縛されているに過ぎないことを示唆している。有機物と無機物との界面でのプロトン輸送の促進効果と、水との親和性を高めるために行ったのが、その他のコンポジット系である。最もプロトン伝導性の改善に効果があったのは、ケイリン酸塩ガラス-PMA(PWA)系である。無機物の中では最も高いプロトン伝導性を示すPMA(PWA)を用いることにより、室温において10^<-3>〜10^<-4>S/cmの極めて高い伝導度を得ることができることが判明した。
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