本年度では、末端官能基として銅(I)錯体を有するポリベンジルエーテルデンドリマーを合成した。デンドリマー銅錯体に酸素を吹き込むと、これが酸素を介して二量化し、二核銅酸素錯体を与えることを見いだした。サイズが異なる一連のデンドリマーを用いて検討した結果、酸素錯体の生成速度および生成した酸素錯体の熱安定性がデンドリマー組織の大きさに著しく依存することが分かった。最も大きなデンドリマー組織を有する錯体は、酸素錯体を形成するのにかなり長い時間を要したが、生成した酸素錯体の半減期は-10℃で3000秒を越えた。これは、デンドリマー組織をもたないコアモデルの酸素錯体の半減期が7秒であることと対照的である。また、末端官能基として鉄(II)錯体を有するデンドリマーを合成し、酸素存在下の会合・安定性についても検討した。
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