本年度では、デンドリマーを有する新規なピラゾール配位子と11族の銅、銀、金イオンを混合することで、金属複核ピラゾリル錯体が生成し、さらにそのピラゾリル錯体の自己組織体によりマイクロメートルスケールの集合体が得られることを見出した。サイズが異なる一連のデンドリマーを用いて検討した結果、サイズが小さいデンドリマーでは集合体の形状はロッド状であるのに対し、中程度のデンドリマーではピッチが2.5μmの超らせん構造をとることが分かった。構成ユニットに全く不斉要素が存在しないにも関わらず、個々の集合体では光学活性な構造になっており、自然界におけるキラリティーの偏りと関連して興味深い。また、集合体の形成にともなって、可視部における強い発光能が付与されることが明らかになり、キラリティーを有するマイクロメートルスケールの発光材料が原料を混ぜるだけで自発的にできあがるという、材料設計の新しい手法が見出された。
|