研究課題/領域番号 |
11450348
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小松 満男 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60029197)
|
研究分担者 |
南方 聖司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (90273599)
|
キーワード | 分子状窒素 / アンモニアガス / 複素環合成 / ニトリド錯体 / クロラミンT / アジリジン / ピロリジン / N1ユニット導入反応 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き分子状窒素あるいはアンモニアを用いる複素環合成へと展開するために、窒素ガスから誘導できるニトリド錯体や、アンモニアガスをN1源として調製可能なクロラミンTを活用する含窒素複素環合成を検討した。 1.ニトリド錯体をN1ユニット源とする原子移動反応 マンガンニトリド錯体を窒素源とし、その活性化剤として酸塩化物を用いたところ、アルケンを一段階でオキサゾリンに変換できることを明らかにした。この場合、銀塩の添加が、反応の効率に大きく影響を及ぼすことも見出した。さらに、光学活性なニトリド錯体を用いると、キラルオキサゾリンが高エナンチオ選択的に合成できた。本系は、これまでに類をみない[2+2+1]型のオキサゾリン環形成反応であり、合成化学的に非常に興味ある知見を得ることができた。 2.クロラミンTをN1ユニット源とする原子移動反応 i)γ-位にヨード基をもつアルケンとクロラミンTとの反応で、ピロリジン誘導体を合成することができた。本反応において、ヨウ素は脱離基として作用した後アルケンを活性化するという二種の働きを示し、さらには、生成物に官能基として取り込まれるという役割を果たしている。ii)クロラミンTと銀塩を組合せることにより、官能基をもたないあるいは電子求引基をもつアルケンのアジリジン化に成功した。また、非共役ジエンとの反応では、連続的に環化反応が進行し、含窒素ビシクロ環を構築できた。
|