研究概要 |
ランタノイド系列の金属を2枚のポルフィリン環でつないだ形状を有するポルフィリンダブルデッカー型錯体について検討を行った。すでにCe(IV)ポルフィリンダブルデッカー型錯体を用いたジカルボン酸類の正のアロステリックな認識に成功した(Angew.Chem.Int.Ed.,Vol.37(No.15)2096-2099(1998))。 アロステリックホスト分子としてのCe(IV)ダブルデッカー型錯体のScaffoldとしての妥当性および一般性を確かめるために、種々の官能基の導入とアロステリックな分子認識能について、各種分光法(NMR,UV-Vis,円二色性,蛍光,マススペクトル)を用いて認識情報が非線形に得られるかを確かめた。 ゲスト分子として金属イオン(銀イオン)を選び検討を行ったところ、ダブルデッカー型錯体に3当量の銀イオンが協同的に捕捉されることを見いだした。カチオンが一分子のホストに複数個取り込まれる系は珍しく、現在その機構について詳細に検討している最中である。また糖質と親和性のあるボロン酸をCe(IV)ポルフィリンダブルデッカー型錯体に導入したところ、世界で初めてオリゴ糖を認識することに成功した。この結果は、アロステリズムが発現しないホスト分子では得られないことから、アロステリズムによる、シグナルおよび錯形成定数の増幅が深く関与していると考えられる。現在、本系を生理活性オリゴ糖の認識へと展開している最中である。
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