環境に応じて秩序化する人工超分子集合体の創製を目指し、人工核酸塩基受容体の設計とそのオリゴヌクレオチドへの組み込み等を検討した。また、修飾オリゴヌクレオチドの電気化学特性を詳細に検討した。さらには、3年間の研究期間で開発した人工核酸塩基認識部位を用いて、人工の遺伝情報保持システムを創成する研究への展開を模索した。 以下に本年度の具体的な研究成果を箇条書きに記す。 1.前年度までの成果を基に、電気化学的に活性な部位(フェロセン)を有する人工核酸塩基受容体を設計・合成した。 2.人工核酸塩基受容体の電気化学的特性をCV等を用いて詳細に検討した。 3.人工核酸塩基受容体を長鎖オリゴヌクレオチド中に導入する方法を検討し、そのための化学修飾等を行った。 4.人工核酸塩基受容体の組み込まれた長鎖オリゴヌクレオチドの電気化学特性を詳細に検討した結果、オリゴヌクレオチド中においてもフェロセンの電気化学レスポンスが見られることが判明した。 5.この手法を用いて、SNPs(一塩基多型)の検出法を検討した。 さらに別個に、 6.新規人工核酸塩基認識部位を計算機化学の手法を用いて設計し、その合成を達成した。 7.新規人工核酸塩基認識部位の核酸塩基認識力を、種々の物理化学的手法を用いて測定した。 8.これまでに合成したいくつかの核酸塩基認識部位を用いる人工の遺伝情報保持システムを考案し、その研究計画を立てた。 現在、これら研究成果のまとめと、今後の展望への検討を行っているところである。
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