研究課題/領域番号 |
11450361
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
増子 徹 山形大学, 工学部, 教授 (40007216)
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研究分担者 |
和泉 義信 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30002158)
米竹 孝一郎 山形大学, 工学部, 教授 (30143085)
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キーワード | 生分解性高分子 / ポリ(L-ラクチド) / ポリ(ε-カプロラクトン) / ポリマーブレンド / トランスクリスタル / 等温結晶化 / 熱解析 / 透過電子顕微鏡 |
研究概要 |
第3年度は、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)とポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)のクロロホルム溶液ブレンドフィルムに関する等温結晶化挙動を構造特性と対比しながら検討した。PLLA/PCLの混合比は、10/0、9/1、8/2,7/3の比率を中心に実験を行った。PCLが30wt%以上では両者は相分離する。また、PCLの多いほど等温結晶化速度は増大するが、いずれのブレンド比においてもアブラミ指数は3前後となり、不均一核形成3次元成長と判断した。これらのブレンド内で、PLLAはα晶を形成する。 ブレンド物のトランスクリスタル(TC)構造を昨年に引き続き検討したが、PLLA単体の場合に比べてブレンド物はトランスクリスタル構造が出来難く、僅かのPCL含有で高次構造は3次元球晶化してしまうことが多い。これは、ブレンドフィルム表面の核形成にPCLが複雑な形で関与していることが分かった。また、これらのブレンド物フィルムは、延伸が5倍程度に止まる。 PLLA単体のTC構造を表面レプリカ法を用いて透過電子顕微鏡により詳しく観察し、特にTCが接合している部分のラメラ配列に注目した。フィルム表面に垂直方向にラメラ晶のb軸が配向しているが、ラメラ晶はTC接合部において互いに平行になり、成長が中心部に向かってスムースに行われることを確認した。ブレンド物の表面レプリカは、鮮明な形態像が得られず、その高次構造の検討においてはなお課題が残った。 PLLAのシシカバブ構造を得る努力を重ねたが、現段階のPLLA合成法では分子量が30万以下のものしか得られないために、明瞭なシシカバブ構造が得られない状況である。しかし、PLLA末端をジイソシアネートで繋ぎ、高分子量化した試料を用いて剪断歪みを与えながら結晶化した試料からシシカバブ構造に近い高次構造を有するものが得られた。
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