界面上に単分子層固定したタンパク質の紫外可視スペクトル測定を非破壊、高感度、セミリアルタイムで測定する方法論を確立し、これを、従来知見の無かった界面に存在するタンパク質の動的解析の研究に利用することを研究目的とする。平成11年度は界面上に単分子層固定したタンパク質の可視スペクトル測定を非接触、非破壊、高感度、セミリアルタイムで測定する方法論を確立した。通常の接触測定用に開発されている先導波路分光測定装置を購入し、これを非接触、非破壊測定用に改良した。セルはエッジを斜めにカットした先導波路用石英板の上に、試料を固定した基板の片側を金箔を介して固定した。その結果、ギャップ厚依存性が明確に観測できた。これから、水を溶媒とし、400nm程度の光を使えばギャップ厚が0.45μ以内であれば、非接触で分光測定ができることを確認した。 また、先導波路の設計も並行して進めた。エバネッセント波を多く滲み出させるためには全反射の回数を増やす必要があるが、入射角にも上限があるので、光導波路を0.2mmと簿くし、反射点数を多くした。これ以下であると力学強度が低下し、壊れやすくなると同時に歪みが生じ、定量的な解析ができなかった。これらの試作装置を用いて水中に均一溶解しているヘムタンパク質及び透明ガラス電極に吸着したヘムタンパク質の電極応答をリアルタイムで追跡できることを明らかにした。
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