研究課題/領域番号 |
11450369
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 博一 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60127123)
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研究分担者 |
西条 賢次 京都大学, 大学院・工学研究科, 教務職員 (60115847)
竹中 幹人 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30222102)
橋本 竹治 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20026230)
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キーワード | ブロックコポリマー / ポリマーブレンド / ミクロ相分離 / バイコンティニアス / ジャイロイド / 単結晶 / 電子顕微鏡 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
研究概要 |
平成11年度はブロックコポリマー/ホモポリマー混合系を均一溶液からキャストする場合、精密に制御された条件下においてその秩序構造形成がどのように進行するかについて検討した。その結果、長距離秩序をもたないバイコンティニアスミクロドメイン構造であるスポンジ相から立方晶の一種であるDouble Gyroid バイコンティニアスミクロドメイン構造の「単結晶」が生成する過程が明らかになった。 試料として、ポリスチレン-ポリイソプレンジブロックコポリマー(H103:M_n=1.0×10^5,S/I=60/40 wt%/wt%)とホモポリスチレン(S8:M_n=5.8×10^5)の混合系を用いた。H103は組成は非対称であるが、単体ではラメラ状ミクロドメイン構造を形成する。また、H103/S8混合系はwet brush領域にあり、S8が50wt%以上の混合組成ではポリイソプレン相がシリンダー状のミクロドメインを形成する。本研究では特にH103/S8=68/32wt%/wt%の混合物を用いた。5wt%トルエン溶液から急速に溶媒を除去した試料はほとんどがスポンジ相で占められていた。5wt%から所定の濃度まで溶媒を徐々に蒸発させ、その後所定時間濃度をほぼ一定に保った後溶媒を急速に除去し、構造を凍結した試料の共焦点レーザー顕微鏡観察および超薄切片の透過電子顕微鏡観察より、先ずスポンジ相中にDouble Gyroid構造の核が生じ、それがスポンジ相を消費しながら成長する。その際Double Gyroid構造形成にはある一定の体積分率のホモポリスチレンしか必要ないので、余分なホモポリスチレンはスポンジ相中に排出され、それが局在化してセル壁状の構造を作る。このセルは網目の粗いスポンジ相からなっており、高濃度、長時間になるに従い明瞭になる。セル内部でも低濃度、短時間ではスポンジ相が支配的であるが、濃度および時間とともにDouble Gyroidの領域が増加する。Double Gyroidのグレインは成長に伴い合体・融合して最終的には大きな「単結晶」を形成する。このように、キャスト過程におけるスポンジ相からDouble Gyroidへの「結晶化」が観察された。
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