研究概要 |
気体水素燃料を用いたスワール火炎において,旋回強度を増すと(1)火炎の最高温度が低くなること,それに伴なって(2)局所的なNOx生成量が減少すること,旋回を強くし最高温度が低くなっても(3)未燃水素は存在しておらず完全燃焼していること,旋回を強くすると(4)バーナ軸下流で温度の高い領域が現れること,を実験的に明らかにした. また,気体メタン燃料を用いたスワール火炎においては,旋回強度を増してもNOx生成量にさほど変化が見られないこと,旋回強度を増すと未燃メタンの量が微小ながらも増加し不完全燃焼へと向かうこと,を実験的に明らかにした. モデルバーナ内部の流れを数値的にシミュレートし実験による速度分布測定の結果と比較したところ,よい一致が見られた.数値計算の結果から,モデルバーナではバーナ出口においてすでに強い負圧領域が生じていることが分かった. 一方,空間・時間2次精度の陰解法を用いたLESで気体水素燃料を用いたスワール火炎の数値シミュレーションを行い,実験で得られた結果のうち(1),(2),(3)を定性的にシミュレートできた. さらに,実験において乱流的なふるまいがみられたケースにおいて計算では層流的な解となってしまったため,計算スキームを空間4次精度に高次精度化するとともに,低散逸の特性フィルタを適用するという変更をほどこしたところ,従来の計算スキームでは捉えることのできなかった微小な渦構造を捉えることに成功した(未発表).
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