研究概要 |
本研究は,大規模硫化物鉱床であるイランのサーチェスメ斑岩銅鉱床の硫化物鉱石を事例に,微量に含まれる金の賦存特性と分離選別プロセスにおける挙動を明らかにし,有効な金回収法を検討する。最終年度である本年度は鉱石選鉱プロセスおよび分離処理試料のリーチングによる金の挙動について検討し,金の最適な分離回収法について以下の研究結果を得た。 (1)サーチェスメ鉱山の鉱石選鉱プロセスにおける元鉱の平均金品位は0.1ppm以下である。鉱石に含まれる金の約44%が銅・モリブデン精鉱に,残りは尾鉱に含まれている。尾鉱中では約80%の金がvisibleな形態でありかつ黄鉄鉱に含まれることが多く,尾鉱中の黄鉄鉱に含まれる微量金の回収が重要である。 (2)尾鉱から金を取り出すために硫化物バルク浮選が行われた。バルク浮選精鉱に対し鉄酸化細菌によるバイオリーチングと青化処理が行われた。1週間および2週間のバイオリーチング処理に対し,それぞれ約61%と70%の金回収率が示された。それら回収率は,バルク精鉱の直接青化処理またボールミルにより微粉砕化したバルク精鉱の青化処理の値より高い。 (3)サーチェスメ鉱山の鉱石選鉱プロセスにおける金の選別挙動およびの分離処理試料のリーチングによる金の挙動の検討結果より,金の回収率を向上させるためには処理工程中の尾鉱の再処理が不可欠であり,そして再処理工程ではバイオリーチングと青化処理を組み合わせた回収システムが有効であることが示された。
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