研究概要 |
花粉側で劣性を示すSハプロタイプからの花粉側S因子SP11の単離を目的とし、共同研究を実施している奈良先端大でのS^<60>ゲノムクローンの解析から得られたSP11類似クローンが、他のS遺伝子系統にも発現しているかを確認した。その結果、劣性のS^<29>,S^<40>,S^<44>でも類似のクローンが単離でき、優性のSP11と同様にcysteine-rich proteinをコードしていた。これらのクローン間の相同性は、優性のSP11における対立遺伝子間の相同性よりも高かった。また、S^<40>xS^<29>のF^2分離個体を用いたRFLP解析から、この遺伝子は確かにS遺伝子と連鎖していた。また、CHEFによる高分子DNAの分離、DNA gel blot解析から、SLG, SRK, SP11は30-40kbの近接した領域に存在していることを明らかにした。以上の情報から、これらの遺伝子が対立遺伝子関係にあり、劣性S遺伝子系統のSP11であると結論づけた。 B. campestris class IISハプロタイプには、現在のところ、4対立遺伝子(S^<29>, S^<40>, S^<44>, S^<60>)があるが、S^<60>だけがその他のものと、遺伝学的な優劣性関係が決定されていない。それぞれのヘテロ個体を作出し、両親との検定交配から、優劣性の決定を行った。その結果、これらの優劣性は、柱頭側では、それぞれが共優性であるのに対して、花粉側では、S^<44>>S^<60>=S^<40>>S^<29>の順であった。 S^<60>を除く3つのハプロタイプのSP11ゲノム構造を明らかにし、intron, promoter配列などと優劣性関係を比較・検討するために、ゲノムライブラリーのスクリーニングを行っており、S^<29>, S^<44>でpositive cloneを得た。
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