研究概要 |
1.土壌からの窒素発現量の異なる4地点(中国四川省攀枝花市仁和地区仁和鎮、同平地鎮、京都大学附属高槻農場、奈良県高原農業振興センター)における地力窒素の穎花生産への利用を解析した。推定した土壌由来無機化窒素発現量と無肥料区における窒素吸収量との関係から、四川では高槻・奈良に比較して無機化窒素発現量が多く、かつ土壌由来窒素の吸収率も高い可能性が示唆された。 2.奈良県桜井市大西地区の田畑輪換田における水稲の生育,収量および窒素吸収様式を,連作田の場合と比較しながら調査した。無肥料区における水稲の窒素吸収量は,輪換田のほうが連作田よりも向上する傾向にあり,輪換田では土壌窒素の発現量が増加することがうかがえた.しかし,作土からの窒素無機化量は輪換田よりも連作田で多く,また,輪換田の特徴とされる乾土効果は認められなかった。輪換田で窒素吸収が増加した原因として,下層士からの窒素供給の存在と,窒素吸収率の向上の二点が考えられた. 3.ジャポニカ品種とインディカ品種の乾物生産と水利用効率を大気湿度との関係で解析した。大気の低湿度下では、ジャポニカ品種の気孔密度とサイズはインディカ品種に比較して大きく、ジャポニカ品種の葉身木部の水ポテンシャルの低下が大きく、乾物生産と水利用効率が低下した。大気の高湿度では、両者の差は比較的小さかった。この様な大気湿度への反応が、水稲の乾物生産を支配するひとつの要因と考えられた。
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