研究分担者 |
門屋 一臣 愛媛大学, 農学部, 教授 (90036294)
片岡 丈彦 京都府立大学, 農学部, 助手 (90185794)
中野 幹夫 京都府立大学, 農学部, 助教授 (10093692)
倉本 誠 愛媛大学, 機器分析センター, 助手 (50291505)
松本 勲 愛媛大学, 農学部, 助教授 (70036325)
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研究概要 |
本年度得られた結果は,下記に示すとおりである。 1)これまで筆者らが開発したVAM菌の人工培養法をさらに改善するために光環境の影響を調査したところ,赤色光下での培養が菌糸の大量増殖に極めて良いことが明らかとなった。また培地組成も改善した(未発表)。 2)バヒアグラス根25%メタノール溶出液中に含まれる残りのVAM菌生長促進物質を探索したところ,今回は2,3-hydro eupalitinという物質を同定した(未発表)。 3)カンキツと,VAM菌の増殖に有効なバヒアグラスあるいはナギナタガヤのような草との間,またカンキツと,VAM菌がほとんど感染しない植物との間,さらには裸地状態でのVAM菌菌糸によるネットワーク形成を調査したところ,カンキツと草との間には容易にネットワークが形成されたが,VAM菌がほとんど感染しない植物との間ではその形成が悪く,裸地状態ではほとんどみられなかった。このことは除草剤などによる樹園地の清耕裸地化が菌根菌の生態において好ましくないことを示している[Cruz et al.,2000(J.Japan.Soc.Hort.Sci.);石井ら,2001]。これらの結果を踏まえて,低投入持続型カンキツ栽培のあり方を提案した(Ishii et al.,2001)。 4)根からの溶出物はVAM菌菌糸の生長に著しい影響を及ぼすこと(クルスら,2000),また菌根菌の生長を著しく促進するキビ根25%メタノール溶出物などはカンキツ樹の菌根形成を助け,アルミニウム耐性に貢献することを明らかにした(Cruz et al.,2001)。 5)菌根共生メカニズムに貢献するエチレン(Ishii et al.が1996年に報告)の働きをさらに調査したところ,菌根共生はエチレンの前駆物質であるACCの生合成と密接に関与していることを明らかにした[Cruz et al.,2000(Mycorrhiza)]。
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