ハクサイの土壌病害を抑制する根部エンドファイトを用いて、宿主植物根への定着の様子、並びに、共生能力に関連している遺伝子応答性の解明を行った。エンドファイトを感染させたハクサイの根部を播種後1週間から6週間にわたり、2.5%グルタールアルデヒドで固定し、脱水、臨界点乾燥後、蒸着した試料を走査型電子顕微鏡により菌体の定着を観察した。無接種のコントロールと比較し、接種区では皮層細胞の第4層まで菌糸の進侵入が確認された。このことから、本菌は維管束細胞内には入れないと考えられた。0.05%L-メチオニン含有ツアッペック・ドックス培地に菌体を移植し、菌体と培養液の両者において、Yang法を用いてACC含量を測定した。L-メチオニン5mM処理区では20.57nl/・dayのエチレンが生成された。更に、菌体並びに培養液中からACCが確認されたが、コントロールの培養菌体からは確認されなかった。このことから、Heteroconium chaetospiraにおけるエチレンの生成経路はL-メチオニン-----ACC-----エチレンの経路を取っていることが判明した。すなわち、本菌の侵入によって、エチレンが生成され、そのエチレンに応答して防御タンパク質が発現し、根こぶ病を抑制する系が働いて入るのではないかと推察された。
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