1.キウイフルーツかいよう病抵抗性植物の作出に関する研究 インゲンかさ枯病菌のファゼオロトキシン非感受性OCTase遺伝子(argK)を葉緑体移行タンパク質遺伝子と融合し、アグロ感染によりキウイフルーツ植物体に導入した。これら形質転換体の遺伝子発現・翻訳、また単離葉緑体におけるOCTase活性は毒素存在下でも非形質転換体に比べて著しい活性を示していることが確認された。このことから、キウイフルーツかいよう病抵抗性について噴霧接種法により調べた結果、非形質転換植物体では本病に特有の黄色ハローが多数形成されたのに対し、形質転換体では病徴発現が著しく抑制されていることが認められた。また、病原菌の増殖も非形質転換植物体に比べて著しく抑えられていることが分かった。以上の結果から、導入したファゼオロトキシン耐性ROCTaseがタバコ由来の葉緑体移行タンパク質の機能によって葉緑体に移行し、病害抵抗性を示すことが認められた。 2.イネもみ枯細菌病菌の毒素生合成関連遺伝子に関する研究 イネもみ枯細菌病菌の産生する毒素トキソフラビンの生合成能をトランスポゾンTn4431により欠損させた株(No.19)を用いてゲノミックライブラリーより毒素産生を相補する2.6kbのDNA断片を取得した。このDNA中には、IS2様配列の存在が確認されたが、毒素非産出株No.19ではIS2様配列が欠損していたことから、Tn4431の挿入によりIS2様配列が排除されたものと考えられた。野性株において、このIS2様配列下流に見いだされたORF3遺伝子を相同組換え法により破壊した株(MY403)はNo.19株と同様に、毒素を産出せず、また毒素トキソフラビンに対して感受性になっていることが明らかとなった。これらのことから、ORF3遺伝子は本菌の毒素耐性に関与することが明らかとなった。またその遺伝子制御をIS2様配列が行っている可能性が示唆された。
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