研究課題
基盤研究(B)
世界の耕地面積の約4割は強酸性の土壌であり、食糧生産の大きな障害となっている。土壊酸性はアルミニウムの過剰障害を通して多くの作物根の生育を阻害する最も深刻な環境ストレスの1つである。本研究では、肥料の大量施用や酸性雨が土壌環境に及ぼす影響を鉱物化学的、速度論的解析から試み、以下のような結果を得た。1)肥料や酸性雨から付与される酸によっておこる非アロフェン質黒ボク土の酸性化の速度はアロフェン質黒ボク土のそれと比べて著しく速い。しかしながら、アロフェン質黒ボク土でも強度の酸性化が起こり、交換性アルミニウムが出現し、オオムギ根にアルミニウムの過剰障害が認められた。2)富士市のアロフェン質黒ボク茶園土壌からM-KC1で抽出されるアルミニウムは一部分は有機物との結合体から、残りは非晶質の硫酸アルミニウムとギブサイトに起因している。3)低酸根肥料や肥効調節型肥料を用いることによって黒ボク土の酸性化は軽減し、作物のアルミニウム過剰害も改善された。4)強酸性黒ボク土におけるケイ酸資材によるアルミニウム過剰障害の軽減のメカニズムは土壌溶液中のケイ酸濃度が増加することによると言うより、土壌pHの増加に起因することを明らかにした。5)日本の耕地黒ボク土の酸性化状態と交換性アルミニウムの土壌分類における意義を土壌コロイド組成の違いに注目して検討した。
すべて その他
すべて 文献書誌 (17件)