研究課題/領域番号 |
11460031
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
木村 真人 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (20092190)
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研究分担者 |
渡辺 彰 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (50231098)
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キーワード | 水田生態系 / リン脂質脂肪酸 / 稲ワラ / 田面水 / PCR-DGGE / 水稲根圈微生物 / 植物遺体 / PCR-RFLP |
研究概要 |
水稲生育期間中、田面水、浸透水、土壌、植物遺体を定期的に採取するとともに、水稲根を節位ごとに採取し、それぞれの部位に生育する微生物を解明するため、リン脂質脂肪酸の含量と組成、PCR-RFLPパターン、PCR-DGGEパターンを解析した。また、田面水中に生育する水生生物の種類組成の調査も行った。その結果、 1)各部位にはそれぞれ異なった微生物が生育しているとともに、微生物群集は水稲生育時期とともに変化することが判明した。また、微生物群集構造は施肥の種類によっても変化することが明かとなった。 2)稲ワラ上の微生物は施用初期には表皮細胞上に分散して生育するが、時間とともに一面を覆うように生育すること、葉身部の分解は内部組織から分解されるのに対し、葉鞘部の分解は表面と内部の両方からであることも明かとなった(走査型電子顕微鏡観察)。 3)水稲根に生育する微生物は各採取時期とも節位の低い(古い)根から高い(新しい)根へと規則的に微生物群集構造の変化していた。 4)浸透水中の微生物群集構造は、水稲の生育に伴って変化していた。また、同時に採取した田面水、作土還元層土壌と比較したところ、その群集構造は田面水と還元層土壌の中間的性質を有することが判明した。5)0.5mm以上の粗大植物遺体を篩を用いて>4、2-4、1-2、0.5-1mmに4分画し微生物群集を比較した結果、細かくなるに従って微生物群集が変動していた。 5)水生生物群集の種類と数は、施肥の影響を受けるとともに、中干し前後で大きく2つの時期に区分された。 以上の結果をもとに、PCR-DGGEパターンで観察された特有のバンドに対応する微生物種を解明するため、現在、その塩基配列を調査中である。
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