研究概要 |
5つのEF-handモチーフ(PEFドメイン)をもつ新規カルシウム結合タンパク質様の部分配列をESTデータベース上に見出し、これをpeflinと命名して、完全長cDNAをヒト胎児ライブラリーよりクローニングした。PEFドメインをもつタンパク質としては、カルパイン小サブユニット、sorcin,grancalcin,および予定細胞死(アポトーシス)と密接に関係することが知られているALG-2が知られていたが、推定されるアミノ酸配列を比較すると、peflinはこれらのうちALG-2と最も相同性が高かった。また、ALG-2と比較して、N末端にはPro,Glyおよび疎水性アミノ酸に富む領域をもち、Ala-Pro-Gly-Gly-Pro-Tyr-Gly-Gly-Proをコンセンサスとする特徴的な9残基配列を9回繰り返した領域を挿入していた。PeflinのPEFドメインのN末端にHisを6残基付加した組み換え体(6xHis-△ Npeflin)を大腸菌で発現させたが、発現産物は不溶性であったので、変性剤存在下で6xHisを認識するアフィニティ樹脂を用いて精製した。これを抗原としてマウスに注射し、抗血清を得た。ウエスタンブロットによりヒトT細胞白血病細胞株Jurkatや骨髄性白血病細胞株HL60などで、分子量30Kに相当する位置に特異的バンドを検出した。cDNAより推定される分子量とよく一致し、得られたcDNAが本来の翻訳開始コドンをもつことを強く示唆した。最近、特異性の高いモノクローナル抗体を取得することに成功し、今後はpeflinのカルシウム上昇に伴う細胞内局在性の変化などを免疫学的に解析する予定である。
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