本研究においては、Rhodococcus rhodochrous J1のAmidaseを対象とし、活性セリン残基以外に本酵素の触媒反応に関わるアミノ酸残基の同定を試みた。 各種Amidase間で完全に保存されているアルギニン残基である(Rhodococcus rhodochrous J1のAmidaseにおける)Arg197を部位特異的変異法を用いてGlnに置換した変異体を作成し、大腸菌での発現を試みたところ、SDS-PAGE上でタンパク発現が認められた。しかしながら、完全に活性が消失していた。続いて、本変異タンパク質を各種カラムクロマトグラフィーで単離し、精製変異タンパク質のCDスペクトルを測定した結果、wildの酵素との間にそれ程大きな二次構造の違いは認められなかった。以上の結果より、Arg197が活性アミノ酸残基の一つであることが強く示唆された。Argl97の側鎖C(=NH)NH_2基がオキシアニオンホールを形成することにより、反応の遷移状態におけるテトラヘドラル中間体の安定化に寄与している可能性が考えられる。
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