1.Benzamideを基質としてNitrilaseのAmidase活性を正確に測定したところ、比活性は3.34×10-5U/mgであり、Benzonitrileを基質としたNitrilase活性の1/300000であった。(Benzonitirleに対するKm値が2.10mMであるのに対し)Benzamideに対するKm値は2.94mMと近い値を与え、活性に必須な活性アミノ酸残基である。Cys165を(部位特異的変位法で)Alaに置換した酵素は、全くAmidase活性を示さなかった。これらのことから、この2つの活性が同一の活性中心に基づく可能性が示唆された。 2.Nitrilase間で完全に保存されているリジン残基であるLys131をAlaに置換したところ、完全に活性が消失した。CDスペクトル測定の結果、wildの酵素との間にそれ程大きな二次構造の違いは認められなかったことから、Lys131が(Cys165以外に)活性アミノ酸残基の一つであることが強く示唆された。 3.各種芳香族アミドあるいは脂肪族アミドをヒドラジンととおに基質として用いることによって、Amidaseがヒドラジドを合成し得る活性を示すことを初めて発見し、アシル中間体が加ヒドラジン分解されることでヒドラジドが生じるという機構を新たに提唱した。 4.各種Amidase間で完全に保存されているアルギニン残基である(Rhodococcus rhodochrous J1のAmidaseにおける)Arg197を部位特異的変異法を用いてGlnに置換したへに対を作成し、大腸菌での発現を検討したところ、Arg197が活性アミノ酸残基の一つであることが強く示唆された。Arg197の測鎖 C(=NH)NH2基がオキシアニオンホールを形成することにより、反応の遷移状態におけるテトラヘドラル中間体の安定化に寄与している可能性が考えられた。 5.イソニトリルヒドラターゼの構造遺伝子のSD配列等を改良し、2xYTを培地を用いて、温度やIPTGの濃度・添加時間などを様々に変えた条件下で、本酵素の発現条件を検討した結果、可溶性画分に大量に発現させる系を初めて確率することに成功した。続いて、本組み換え酵素を単一になるまで精製し諸性質を検討した結果、本酵素は、Pseudomonas属野生株から調製した酵素とほぼ同一の性質を示すことが判明した。
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