研究概要 |
1.シロイヌナズナCYP71B11の機能解明 シロイヌナズナT-DNA挿入CYP71B11遺伝子欠損株、また、野生株WSとそれにCYP71B11cDNAを導入したCYP71B11過剰発現株について除草剤感受性試験を行った結果、スルフォニルウレア系除草剤クロロスルフロン、ニコスルフロン及びフルピルスルフロンに対して、野生株に比べてCYP71B11遺伝子欠損株は過感受性を示し、CYP71B11過剰発現株は耐性を示した。 また、^<14>C標識クロロスルフロン、イマゾスルフロンをシロイヌナズナの3系統に与えて、代謝物を分析した結果、両除草剤の代謝はCYP71B11過剰発現株が最も速く、次いで、野生株WSで、CYP71B11遺伝子欠損株はほとんど代謝しなかった。以上の結果、CYP71B11はスルフォニルウレア系除草剤の代謝に関与することが判明した。 2.イネの薬物代謝・誘導型P450遺伝子 イネ日本晴を各種薬剤で処理した後、定量PCR法でCYP72A18とCYP72A21の遺伝子の転写活性化を測定した。その結果、CYP72A18は除草剤2,4-D、トリフルラリン、シマジンなどで転写誘導されることが判明した。従って、CYP72A18遺伝子には除草剤応答性因子が存在すると思われる。そこで、イネCYP72A18遺伝子の5'上流域をクローニングし、各種シスエレメントを解析したところ、外来異物応答に係わるシスエレメントが認められた。 3.イネ薬物代謝型P450遺伝子の酵素機能 取得したイネCYP72A18とCYP72A21のcDNAをおのおの酵母に発現し、相当するP450発現酵母ミクロソーム画分を用いて各種除草剤の代謝分析を行ったが、代謝活性は認められなかった。
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