研究概要 |
芳香族炭化水素への初期酸素添加に関与する酵素(オキシゲナーゼ)は末端酸素添加酵素(大小サブユニット)とNADHからの電子伝達系(フェレドキシン及びその還元酵素)から成る多成分酵素である。本研究では、まず、大サブユニットが基質特異性に関与することを明らかにした。ついで分解機能の異なるPseudomonas pseudoalcaligenes KF707株とBurkhoderia cepacia LB400株の二つのビフェニルジオキシゲナーゼの大サブユニット(BphAl)遺伝子間でDNAシャフリング法を適用した。即ち、両bphAl遺伝子をPCRにより増幅、DNAaseIで10-50bpに分解、プライマーを入れないPCR、ついでプライマーを用いたPCRにより、KF707-bpAlとLB400-bpAlのキメラ遺伝子を構築した。これを大腸菌で他の遺伝子と共発現させて、キメラ酵素の機能を解析した。その結果、DNAシャフリングにより、各種ポリ塩化ビフェニル(PCB)に対して2,3-dioxygenation及び3,4-dioxygenationの両反応により効率よく分解する酵素が得られた。また、親酵素が分解できないベンゼン、トルエンを分解できる新規な酵素、諸種のアルキルベンゼンに高い分解能を示す酵素が得られた。 次にKF707BphAl遺伝子についてランダムヘキサオリゴマー利用した変異を行った。その結果、KF707株酵素が分解できないジベシゾフラン、ジベンゾ-p-ダイオキシンに対してlateral dioxygenation及びangular dioxygenationの両反応により酸化できる変異酵素が得られた。 上記の改変酵素のアミノ酸配列を決定し、新規な分解能獲得に関与するアミノ酸配列を同定し、素の構造と分解能について考察した。
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