研究概要 |
各種古細菌(Methanosarcina,Halobacterium,Pyrococcus,Thermoplsamaなど)の無細胞抽出液中に、ジヒドロキシアセトンリン酸のNAD(P)Hによる還元活性およびグリセロールキナーゼ活性を検出した。グリセロリン酸のガスクロマトグラフィーによる迅速微量定量法、およびMethanobacterium thermoautotrophicumのグリセロール-1-リン酸デヒドロゲナーゼを用いるグリセロール-1-リン酸定量法を開発し、生成したグリセロリン酸の立体異性体を定量した。グリセロール-1-リン酸デヒドロゲナーゼは測定したすべての古細菌に存在し、この酵素が広い範囲の古細菌で対掌体型極性脂質の生合成を担う酵素であることを示唆した。グリセロールキナーゼ活性は従属栄養菌にのみ見いだされ、グリセロールの異化代謝に関与するものと推定された。1-O-ベンジル-sn-グリセロールおよび3-O-ベンジル-sn-グリセロールとゲラニルゲラニオールを出発物質として、不飽和アーキオールを有機化学的に合成し、これをリン酸化して不飽和アーキチジン酸またはその対掌体を調製した。これらを基質としてM.thermoautotrophicumの無細胞抽出液中のCDP-不飽和アーキオール合成活性を検出し、その基質特異性を検討した。本酵素は脂質基質のグリセロリン酸骨格の立体構造より、炭化水素鎖の不飽和か否かに強い特異性を示した。
|