研究課題/領域番号 |
11460056
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物生産化学・応用有機化学
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
高山 誠司 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (70273836)
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研究分担者 |
岩野 恵 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教務職員 (50160130)
柴 博史 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (20294283)
磯貝 彰 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (20011992)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 自家不和合性 / 花粉 / アブラナ科植物 / PCP / SP11 / SLR1-BP / 種間認識 / 接着 |
研究概要 |
被子植物は受粉から受精に至る過程で適切な交配相手を選別する機構を様々に発達させている。その中には種の維持に関わる種間不和合性や、種の遺伝的多様性の維持に関わる自家不和合性などが含まれる。これらの機構により植物の雌蕊は同種のしかも他個体の花粉を特異的に受け入れ、それ以外の花粉を積極的に排除する。従来の研究により、アブラナ科植物では受粉時のこうした複雑な認識反応に柱頭側のSLG蛋白質類が関与することが示されてきた。しかし、これらSLG類が認識する花粉側の分子の実体は未解明のままであった。本研究はこうした花粉側の認識分子の同定を目的とし、最近SLG類と相互作用することが示されてきた花粉表層中のPCP(pollen coat protein)類に着目し、これらの中から目的とする因子を徹底的に探索した。 その結果、花粉-柱頭間の認識反応において中心的な役割を果すと考えられる2種類のPCP類を見出すことに成功した。一つは、SP11と名付けた新規PCPで、長年探索されてきたアブラナ科植物の自家不和合性の花粉側因子であることが明らかとなった。本研究ではSP11の発見に加え、本因子が自他認識に関与していることの実証にも成功した。SP11は柱頭側SLG類の中のSRKと相互作用することで柱頭側に不和合反応を伝達することが示唆された。もう一つはSLR1-BPと名付けた新規PCPで、花粉-柱頭間の接着に関与する柱頭側のSLR1と強力に相互作用する因子であることか示された。実験的な機能解明には至らなかったが、本因子が基本的和合性あるいは種間不和合性に関与している可能性を提唱することができた。 以上のように本研究では、長年の研究課題であったアブラナ科植物の自家不和合性に関わる花粉側因子を明らかにし、さらに近縁の蛋白質の中に基本的和合性あるいは種間不和合性に関与すると考えられる因子を同定することに成功した。本研究で見出されたこれらPCP類は、今後植物の受粉・受精過程における細胞間認識機構解明に向けて重要な手がかりを与えるものと期待される。
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