研究課題/領域番号 |
11460063
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 雅一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10144346)
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研究分担者 |
執印 康裕 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (60221305)
芝野 博文 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00143412)
太田 猛彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50134797)
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キーワード | 対照流域法 / 森林伐採 / 水収支 / 物質循環 / 水質形成 / SiO_2 |
研究概要 |
東京大学千葉演習林袋山沢のA流域、B流域は、流域面積約1haの隣接した流域である。2流域とも70年生のスギ、ヒノキ人工林が生育していたが、1999年3月から5月にB流域の森林全てを伐採し、森林伐採の影響が流出量、水質、土砂流出、土壌水分、土壌呼吸量などにどのような影響が現れるかを、伐採流域と伐採しない対照流域の比較をしつつ調査した。 伐採後ほぼ3年経過した2001年末までに生じた変化は、次のようにまとめられる。 1)水収支観測(降水量、流出量)から、伐採後のB流域で流出量が増加した。その変化は、年間で200〜250mmで、伐採によって蒸発散量が減少したことによる。 2)伐採による渓流水の水質変化は、硝酸態窒素の伐採後の増加が最も顕著であった。伐採前ほとんど0であったB流域の硝酸態窒素は1999年夏は80μeq/l、1999年11月200〜300μeq/lと上昇し、その後2000年10月に150μeq/lと低下したが依然高い値である。伐採していないA流域ははぼ0のまま推移した。 3)流出土砂量は、伐採前後で変化は見られず、地表撹乱の防止に配慮した索道による伐採木の搬出法による効果と見られる。 4)伐採地の土壌水分は、伐採後全般的には湿潤となったが、斜面上部の表層付近は伐採前よりも乾燥傾向となった。地表下10cmの地温は、伐採後直射日光があたり上昇傾向を示した。 5)伐採地の土壌呼吸量は、伐採しない流域の林床に比べて増加したが、その増加量は伐採後に地温が上昇したことによって説明できる範囲の変化であった。 伐採された流域には、2000年2月に再びスギ、ヒノキが植栽されており、今後は森林の成長に伴う長期的変化のモニタリングが継続される。
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