研究課題/領域番号 |
11460068
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柴田 叡弌 名古屋大学, 農学部, 教授 (30252282)
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研究分担者 |
梶村 恒 名古屋大学, 農学部, 助手 (10283425)
肘井 直樹 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80202274)
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キーワード | 森林昆虫 / 害虫化 / スギ / スギカミキリ / キバチ / 林木の防御 |
研究概要 |
1997年5月に、愛知県小牧市の小牧山においてスギの大量枯死が認められ、新聞紙上で枯死木から脱出したオナガキバチの加害がこの枯死の主因であると報告された。著者らはこの報告に疑問を感じ、このスギ枯死の原因を究明するために調査を行った。枯死木を観察したところ、楕円形の脱出孔およびハチカミ症状が認められ、スギカミキリが加害していたことが示唆された。また、枯死木を伐倒したところ木口面にニホンキバチの加害によると思われる星形の変色が認められるものが存在した。1998年に、粘着トラップによるスギカミキリの捕獲を試みたところ、多数のスギカミキリ成虫が捕獲された。以上のことから、この大量枯死の主因はスギカミキリの加害であると考えられた。スギカミキリの加害により衰弱した木に産卵したニホンキバチがその際に菌を接種し、その菌を利用してオナガキバチが生育していたものと考えられた。 スギカミキリのスギ利用様式を調査した。環状に樹幹を剥皮したスギ樹幹にスギカミキリ成虫を放して産卵させ、その後の昆虫の生存率と成虫の体重を測定した。その結果、剥皮部より上部では下部よりも幼虫生存率が高く、そこから羽化した成虫の体重も重い傾向がみられた。これらから、スギカミキリはやや衰弱した生立木を利用してスギ林で生活していることが示唆された。
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