研究分担者 |
土屋 智 静岡大学, 農学部, 教授 (60197720)
中村 浩之 東京農工大学, 農学部, 教授 (90242239)
川邉 洋 新潟大学, 農学部, 教授 (80126036)
近藤 観慈 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (60335148)
平松 晋也 高知大学, 農学部, 助教授 (70294824)
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研究概要 |
本研究を行っている最中に,台湾にて規模M_L7.3の921集集大地震が発生した。環太平洋地震帯に属する台湾の直下型地震による山地災害を調査することは,日本にとっても有意義なことである。最も参考となる例が,大規模崩壊と堰止め湖の形成である。一つは九〓二崩壊であり,他の一つは草嶺の崩壊である。堰止め湖は未だ決壊していないが,九〓二においては深刻である。崩壊斜面の地震応答加速度を求めるため,九〓二・草嶺の崩壊現場にて弾性波探査を実施し,すべり面での粘土採取と土質試験を行った。大規模崩壊は,流れ盤という地質的な弱点に沿って発生した。 九〓二崩壊は,頁岩層の崩壊(概略1×1.7km,崩壊土砂量:3千500万m^3)である。今回の知見の一つは,この地域が1937年の陸地測量部の測量と比較して,約2m高くなっていることと,崩壊地につながる尾根のピーク(中心山)がおそらくは過去の地震(特定できない)の際に失われたことである。他の一つは,今回の崩壊斜面が実は過去の時代の崩壊跡地斜面であった,という知見である。崩壊後何十年か経つと地層が劣化し,次の地震等により崩壊が発生することが示唆された。崩壊斜面における加速度は,草嶺に比較するとそれほど大きくなく,0.5G程度であった。 草嶺の崩壊は,1.3×1.7kmで,崩壊土砂量が約1億m^3という巨大崩壊ある。この崩壊は過去の地震等によって4回崩壊していることが知られていた。やはり日本の陸地測量部の測量が行われており,過去の河道がもっと南よりであったことが示された。崩壊斜面の加速度が約3Gに達していたことが地震応答解析の結果明らかになった。草嶺でも,シルト質の粘土層があり,地震動による液状化の可能性も示唆された。このことは九〓二の粘土層でも同様であった。
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