| 研究概要 |
本研究の目的は,霧島火山を対象にして水文試験地を設け,さまざまな水文量を観測し,また侵食,崩壊などによる土砂移動を調査し,火山の新旧が流域からの水と土砂の流出に及ぼす影響を評価することである。さらに将来起きるかもしれない噴火とそれに伴う水文環境と土砂移動の変化に対処するための基礎資料を得ることである。今年度行った調査内容および得られた成果は以下のように要約される。
1.霧島火山体の地形を把握するために地形計測を実施した。地形図や数値地図50mメッシュ(標高)データを用いて傾斜や起伏量を計測するプログラムを開発した。開発したプログラムによって霧島火山体の全体について傾斜区分図,起伏量図,標高分布図,水系図等を作成した。これらの結果を用いて新旧の火山の地形を比較した。地形計測結果はこれから得られる水文データと関連づけて検討する予定である。
2.高千穂峰の山腹(標高760m)に雨量計を設置し,雨量観測を開始した。
3.霧島火山体の東側の高千穂川に水位計を設置し,水位観測を開始した。今後,水文データを蓄積して霧島火山体の流出特性を明らかにする予定である。
4.空中写真を用いて霧島火山体の侵食谷や崩壊地の分布図を作成した。また,現在で河床変動および流出土砂量について調査した。今後,撮影年の異なる空中写真を判読して,侵食や崩壊の履歴を調査する予定である。
5.現在噴火している新燃岳に位置する矢竹流域において土石流調査を行った。
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