セルロース誘導体としてジアルデヒドセルロースとそれをさらにアミンと反応させて得られるイミン類を取上げ、熱分解・炭化挙動を調べた。ジアルデヒドセルロースは酸化度に応じて熱分解開始温度が顕著に下がり、500℃での炭化物収量が大きく向上した。イミンのうちヒドラゾンとオキシムの置換度の高いものは160℃で爆発的に分解し、その程度は置換度に依存した。これらの挙動はセルロースの炭化過程の制御に利用できる。 セルロースのミクロフィブリル形態を保って炭化するために以下の条件を試験した:i)水懸濁液状態からの凍結乾燥;ii)硫酸あるいは界面活性剤を添加して凍結乾燥iii)銀コロイドを析出・被覆させる;iv)ポリエチレングリコールと混合;v)塩化カルシウムと混合この中でiii)のみがミクロフィブリル形態を保った炭化物を与えたが、塊状物の割合が無視できなかった。したがって効率の良いミクロフィブリル状炭化の条件を確立するにはさらなる研究が必要である。 セルロース含有率の高い木材(ドロノキ)を用いて炭化試験を行ない、セルロース結晶温度が320℃であること、硫酸含浸により収率向上と同時に収縮の抑制と機械的強度の向ることを見出した。
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