研究課題
研究最終年度にあたって,2回のミニ研究集会の開催と調査・研究の取りまとめを行った.1回目のミニ研究集会は,道南ブロック博物館協議会の会員と併せ約30名の出席を得,北海道地域の博物館施設における保存,正倉院校倉宝庫の温湿度測定の結果,環境保全計画などについて討議を行った.収蔵庫内の環境測定を実施し,現状を正確に把握することが急務であると認識が得られた.2回目は岩手県立博物館において県立博物館関係者と併せて8名の出席を得,コンクリート製建造物の老朽化と内部環境の推移について,施設見学を実施しながら詳しく検討した.長期間に渡る測定データが果たす役割の大きさを実感することができた.調査としては,博物館施設の内部温湿度環境の測定を継続した.ただし,今年度実施分は測定開始時期が遅れたため,今年度測定分は平成14年1月から3月までの間になり,測定対象施設は帯広美術館,福島県立博物館,石川県立美術館,正倉院校倉宝庫,東京国立博物館,鳥取市歴史博物館,徳島県立博物館,大分県歴史博物館など8機関になる.測定方法は小型温湿度データロガーを各施設に配布して行っている.東京国立博物館では,収蔵庫の内装材として導入した珪藻土系の調湿パネルと用いた空間,人造木材を用いた空間,ヒノキを用いた空間,コンクリートのままの空間,また展示室に設置した展示ケース内,美術品輸送に用いる梱包ケース内などを対象にした内部の温湿度あるいは空気成分の測定を実施した.
すべて その他
すべて 文献書誌 (5件)