1)脳下垂体におけるGTH合成分泌機構の解析 これまでに、ニホンウナギIIβおよびαサブユニットのcDNAクローニングと特異抗体の作製は完了している。GTHIβについては、東京大学がそのcDNAクローニングに成功したため、本研究では特異抗体の作製を試みた。その結果、ニホンウナギGTHIβ抗体の作製に成功した。また、IβのRT-PCR測定系も確立した。これらを用いて、人為催熟(サケ脳下垂体投与)に伴う雌ウナギ脳下垂体中のIβの変化を調べた結果、処理開始直後から急激にその発現が低下することが明らかになった。 2)卵巣におけるステロイドホルモン合成機構の解析 卵巣中の卵濾胞組織からは卵黄形成中にはエストラジオールー17β(E2)が、卵成熟期には17α、20β-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン(DHP)が合成分泌される。これまでにE2合成に関わるアロマターゼ、C17-20リアーゼおよびステロイド17β水酸基脱水素酵素(17β-HSD)cDNAのクローニングに成功している。本研究では、コレステロール側鎖切断酵素(SCC)および3β-HSDのcDNAクローニングに成功した。これらを用いて、人為催熟に伴う雌ウナギ卵巣中の変化を調べた結果、3β-HSDはほとんど変化しなかったのに対し、他の酵素は発現が増加した。 3)肝臓におけるVTG合成分泌機構の解析 肝臓からはエストロゲン受容体(ER)および2種のVTGcDNAのクローニングに成功している。しかし、最近哺乳類においてERはαおよびβの2種が存在することが報告された。実際に、申請者らが先に報告したのはERβであり、別タイプのERαがウナギでも存在することを確認している。そこで、本研究では、ERαのcDNAクローニングを行ない、部分配列を決定した。この情報をもとに、両者の発現状態をそれぞれ区別して測定できる系を開発した。
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