研究概要 |
ゲノム情報・技術を用いた水産遺伝育種の基盤を早急に確立する必要があるが、増養殖対象魚類は多種にわたっているため、それらの遺伝育種を効率よく行う方法の開発が求められている。そこで、DNAマーカーを用いた比較ゲノムマップの利用に着眼し、その基盤を確立しようとするのが本研究である。本年度はニジマスの戻し交配家系を用いたマイクロサテライトマーカーによる遺伝子地図の作成と、ヒメラ、マダイ、アユのマイクロサテライトマーカーの単離を行った。 1.ニジマスの遺伝子地図 マーカーが示すバンドの対応関係からマーカー間の組換え率を測定し、マーカー間の距離を推定した。これをすべてのマーカー間で行ってその座位を決定し、遺伝子地図を作成した。この遺伝子地図作成には、コンピュータソフト、Map Managerを用いた。 ニジマスの戻し交配家系(182個体)と約200個にマイクロサテライトマーカー(CAリピートマーカー)を使い29遺伝子連鎖群からなるニジマス遺伝子地図を作製した。雄と雌における遺伝子の組換え頻度の差を反映して、マーカー間の距離は、雄の方が雌のそれより短く,その比は1:3.25であった。テロメア近傍では雌における組換え率が雄のそれより著しく低く(0.14:1),動原体近傍では逆に,雌の方が雄のそれより高かった(10:1)。雌の連鎖地図におけるマーカー間の平均距離は10cM(センチモルガン)であった。 2.ヒラメのマイクロサテライトマーカーを約100個、マダイとアユそれぞれ10個のマイクロサテライトマーカーを単離した。
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