研究概要 |
本年度は、平成11年度に作製した約200個のマイクロサテライトマーカー(CAリピートマーカー)を用いた29遺伝子連鎖群からなるニジマス遺伝子地図を利用して、ニジマスの伝染性膵臓壊死症抵抗性に関するQTL解析を行った。 ニジマスの伝染性膵臓壊死症(IPN)は、Binavirusに属するIPNウイルスによって引き起こされる疾病で、ニジマス系群にはその抵抗性に差があることが報告されている。本年度は、伝染性膵臓壊死症(IPN)に対する耐病性/感受性のQTL解析のために準備された、ニジマスIPN耐病性系統(YN-RT201)、IPN感受性系統(YK-RT101)の2系統からの戻し交配家系を用いて、PNウイルスで浸漬感染(10^<5.0>TCID_<50>/ml,1時間)を行ない、IPN耐病性(表現型;生、死)と50遺伝子座、27遺伝子連鎖群からなるマイクロサテライトマーカーを用いたDNA多型の遺伝状況との関連性の有無を解析した。 その結果、ニジマスIPN感受性/耐病性に関連する2つの連鎖群に属する4遺伝子座(OmyRGT41TUF, Ssa4DU;リンケージグループA、OmyOGT4TUF, OmyRGT6/iiTUF;リンケージグループC)を見いだした。耐病性のような水産有用形質の多くが量的形質に支配されていると考えられる中にあって、本成果は量的形質であってもその原因遺伝子座の特定に遺伝子連鎖地図とそれを用いたQTL解析が有効であることを示したもので、今後の水産における分子育種に道を開いたものと考える。
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