研究課題/領域番号 |
11460090
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
川合 研兒 高知大学, 農学部, 教授 (60127925)
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研究分担者 |
細川 秀毅 高知大学, 農学部, 教授 (40036744)
鈴木 聡 高知大学, 農学部, 助教授 (90196816)
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キーワード | Edwardsiella tarda / 外膜タンパク質 / 感染防御抗原 / 共通抗原 / カプセルワクチン |
研究概要 |
まず、Edwardsiella tarda EF-1株で、菌種内で共通と考えられる37kDaの外膜タンパク質(Omp37Et)の産生に好適な培養条件を求めた結果、Omp37Etの産生量は振とうの有無によらず48時間後まで増加した。その抗原性は無振とうの場合には30時間後まで維持されたが、振とう培養では対数増殖期後に低下し、また20℃以上の培養でも低下した。つぎに、血清型間におけるOmp37Etの共通感染防御抗原性について調べるため、EF-1株およびこれと血清型が異なるV-1株から精製したOmp37Etでウナギを免疫し、EF-1株生菌で感染試験を行ったところ、同等の生存性を示した。このことから、血清型間で共通に存在するOmp37Etは、血清型に影響されない感染防御抗原であることが確認された。つぎに、EF-1株と同じ血清型でヒラメ由来のHH-1株を用いた免疫実験を行った。まず、EF-1株とHH-1株の免疫原性が同等であることを感染実験で確認したのち、HH-1株のFKC用いて腹腔内注射法、経口投与法および浸漬法によりヒラメを免疫した。そして、同株の生菌で感染試験を行った結果、攻撃後の性残率は注射法、経口投与法、浸漬法の順に高く、また免疫応答のレベルを示す血清の菌体凝集価および頭腎マクロファージの貪食率も同じ順に高かった。つぎに、HH-1株のFKCをワクチン抗原とし、賦型剤に混合したのち酸耐性コーティング処理をした試作カプセルワクチンを作製し、ヒラメに経口投与してFKCのみの投与の場合と感染試験による効果の比較を行った。その結果、カプセルワクチンのほう生残率が低くなり、その効果は認められなかった。そこで、カプセル化したワクチンの抗原含有率および中性緩衝液中での抗原遊離性を調べた結果、抗原量は十分にカプセルに含有されていたが、緩衝液中での遊離にやや時間を要し最終遊離度も低いことが明らかになった。このことから、カプセル作製の条件や剤状を検討する必要があることが分かった。なお、精製したOmp37Etを用いたヒラメの免疫と血清型との関係、経口投与後の抗原の消化管内における消長は、カプセル化の検討と合わせて次年度(継続予約)に行う予定である。
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